予測にいかす統計モデリングの基本 ー ベイズ統計入門から応用まで
先日,以下のような@icoxfog417さんによる論文の紹介を読みました.
時系列予測の問題において、機械学習のモデルより既存の統計モデル(ARMAモデルなど)の方が予測精度において優良な結果が出るという研究。データへの適合=予測精度の向上ではないことも実験で示している。機械学習の研究では統計モデルとの比較も入れるべきという提言をしている。 https://t.co/jboGhYSX6E
— piqcy (@icoxfog417) September 16, 2019
そこで,今回は統計モデリングのおすすめ本を紹介したいと思います.
それが, 樋口知之著「予測にいかす統計モデリングの基本 ー ベイズ統計入門から応用まで」です.本書は,確率やベイズの定理といった基本からスタートします.そこから,状態空間モデルによる予測モデルの構築と,粒子フィルタを用いた予測値の計算方法へと続きます.そして,応用例として,ある飲食店の売り上げデータの解析・予測例が書かれています.本文は図がたくさん載っているのに関わらず150ページ弱と分厚い本ではありませんが,本のタイトルの通り,統計モデリングが入門から応用まで一冊ですべてわかるようになっています.
状態空間モデルを用いた予測モデルの構築は,ドメイン知識を活かしやすいという利点があります.例えば飲食店の売り上げデータの場合,「曜日による周期性がある」「雨が降ると売り上げが落ちる」といった経験や勘をモデルに組み込むことができます.これらによって構築された予測モデルは,予測値の解釈も容易です.これは,予測結果の解釈が難しい機械学習による予測モデル(特にDeep系)にはない大きな利点だと思っています.
この本を読めば,統計的モデリングによる時系列解析・予測を自分で行うことができるようになります.
予測をしてみたい,予測モデルを作ってみたいという方は是非読んでみてください.
予測にいかす統計モデリングの基本―ベイズ統計入門から応用まで (KS理工学専門書)
- 作者: 樋口知之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/04/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 9人 クリック: 180回
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より詳しく知りたい方は,こちらの論文もおすすめです.
状態空間モデルを用いた飲食店売上の要因分解 : 山口類, 土屋映子, 樋口知之
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学
https://www.ism.ac.jp/~higuchi/index_jp/OR-04-Yamaguchi.PDF