マツノート

読書が好きな理系大学院生による書評ブログです.

燃えるだけ燃えよ ー 本田宗一郎との100時間

 人間・本田宗一郎に魅了されます.

 

城山三郎著「燃えるだけ燃えよ ー 本田宗一郎との100時間」は「世界のホンダ」を創った本田宗一郎の魅力を余すことなく伝えてくれる人間紀行です。

本の前半は当時76歳の本田さんに著者が100時間の密着取材を行った模様が,後半は本田さんの半生が書かれています.

この本を読み,本田さんの人柄や考え方を伺うにつれ,本田さんがなぜ一介の技術者にとどまらず,「世界のホンダ」を創り上げるに至ったかがわかります.

いい物を作りたいという情熱,日本一,世界一を目指す強い信念,藤沢武夫さんという素晴らしいパートナー…いろいろな要因があると思いますが,一番は人の心がとてもよくわかる人間だったからではないかと思います.

お客さんの心がわかるから,こうすればなお喜んでもらえるのではないか…となる.社員の心がわかるから,社員に厳しいことをいっても社員がついてくる.だから本田さんの指揮の下,一丸となってホンダは大きくなっていった,そんな気がします.

本田さんが二十代の頃独立し,自動車の修理屋をやっていたときのこと.ただ修理するだけでなく,故障の原因を十二分に説明し,きれいに磨き上げ,納期はきちんと守る.そこまでしないと修理をしたとはいえないーこの考え方には,のちのホンダの萌芽があると思います.

この本を読んで,すっかり本田さんのファンになってしまいました.

是非読んでみてください.